君に捧げるアイラブユー
「いいよ。それより、思ったより雨ひどそうだし、やっぱり傘一人で使ったら?」
「えっ……それだと、東はどうやって帰るの?」
「走って帰るよ、大丈夫」
聞き間違えるわけがない。正真正銘、東の声だった。
たったそれだけなのに、さっきまで冷たかった胸の奥が一瞬だけ熱くなる。
でも、その熱はすぐ別の感情に塗りつぶされた。
「二人で帰ろうよ。だめ?」
「うーん」
女の子の声。少し甘えるみたいな響き方。聞いてるだけで分かる。
きっと可愛い子なんだろうな、って。
なんでそんなこと考えちゃうんだろう。見てもないくせに。
話の流れを聞くだけで状況は簡単に理解できた。女の子は傘を持っていない。東は傘を持っている。そして今、二人で帰ろうとしている。
つまり、それって。
相合傘。
瞬間、胸の奥がぎゅうっと掴まれたみたいに痛くなった。