幼なじみの偏差値60の不良くんは今日も柔軟剤の匂いがする
強張った体温
1組と5組。
校舎の端と端に分かれた私たちの距離は、中学生になってから、どうしようもなく遠くなってしまった。
小学校の頃は、毎日一緒にいるのが当たり前だった。
家もすぐ近くだし、帰り道だって同じはずなのに。
中1の1年間、私たちは一度も、まともに言葉を交わさなかった。
(……気まずいかな。今さら話しかけても、変かな)
そう思って俯いているうちに、時間は残酷に過ぎていく。
いつしか彼は、学校でも有名な「偏差値の高い不良」なんて呼ばれるようになって、私との境界線はもっと深く、濃くなっていた。
でも、昨日。
私の前を歩く、聞き慣れた足音を見つけた瞬間。
鼻先をかすめた、あの頃と変わらない、清潔な柔軟剤の匂い。
「――っ、楓吏(ふうり)!」
もう、頭で考えるのはやめた。
1年分の後悔も、気まずさも全部、走る勢いに乗せて。
私は彼の背中に、思いっきり飛び付いた。
「……っ!?」
瞬間。
彼がビクッとして、彫刻みたいに完璧に固まったのがわかった。
腕の中から伝わってくる、驚きで強張った熱い体温。
今までずっと遠くに見えていた背中が、今はこんなに近くにある。
「…………お、お前……」
数秒後。ようやく再起動した彼が、振り向きもせずに絞り出した声。
その声が少しだけ震えているのがわかって、私は心の中で「やった!」と叫んだ。
1年と数ヶ月。
止まっていた私たちの時間が、昨日、ようやく動き出したんだ。
校舎の端と端に分かれた私たちの距離は、中学生になってから、どうしようもなく遠くなってしまった。
小学校の頃は、毎日一緒にいるのが当たり前だった。
家もすぐ近くだし、帰り道だって同じはずなのに。
中1の1年間、私たちは一度も、まともに言葉を交わさなかった。
(……気まずいかな。今さら話しかけても、変かな)
そう思って俯いているうちに、時間は残酷に過ぎていく。
いつしか彼は、学校でも有名な「偏差値の高い不良」なんて呼ばれるようになって、私との境界線はもっと深く、濃くなっていた。
でも、昨日。
私の前を歩く、聞き慣れた足音を見つけた瞬間。
鼻先をかすめた、あの頃と変わらない、清潔な柔軟剤の匂い。
「――っ、楓吏(ふうり)!」
もう、頭で考えるのはやめた。
1年分の後悔も、気まずさも全部、走る勢いに乗せて。
私は彼の背中に、思いっきり飛び付いた。
「……っ!?」
瞬間。
彼がビクッとして、彫刻みたいに完璧に固まったのがわかった。
腕の中から伝わってくる、驚きで強張った熱い体温。
今までずっと遠くに見えていた背中が、今はこんなに近くにある。
「…………お、お前……」
数秒後。ようやく再起動した彼が、振り向きもせずに絞り出した声。
その声が少しだけ震えているのがわかって、私は心の中で「やった!」と叫んだ。
1年と数ヶ月。
止まっていた私たちの時間が、昨日、ようやく動き出したんだ。
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