幼なじみの不良くんは今日も柔軟剤の匂いがする
俺が眉間にシワを寄せて近づくと、冴に話しかけていた男子は青ざめた顔で「ひっ……!」と短い悲鳴を上げた。そのまま逃げるように焦って5組の教室へ駆け込んでいく。

「……は?」

呆然とする俺の隣で、冴は何が起きたのかさっぱり分かっていない顔で首を傾げていた。

「ん? どーしたの? 用事?」

ノーガードで無邪気に聞いてくる冴を見て、俺は思わず大きな溜め息をつく。

(お前が俺を庇おうとして困ってたから、わざわざ戻ってきたんだよ……)

そんな恥ずかしい本音、口が裂けても言えるわけがない。自分が学校でどう見られているかを思い知らされて、少しだけ胸がチクッと痛む。俺のせいで冴に変な噂が立つのは嫌だ。

「……用なんかねぇよ。アホ面が見えたから冷やかしに来ただけだ」

「え、また?さっきも言ってたよ、それww」

「そういうとこだよばーか」

俺はわざとそっぽを向いて、照れくささと切なさを誤魔化すようにぶっきらぼうに呟いた。
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