ライバルがユーレイなんて聞いてない!


 そうだ、帰りにもう一つだけ探してみようかな。

 いつもは母さんが迎えに来てくれるけど、今日は弟の風斗(ふうと)が風邪をひいたので病院につきそってる。
 寄り道しないで帰りなさいって言われてるけど、ほんのちょっとだけならいいよね。

 ほんのちょっと、すぐに見つからなかったらあきらめて帰るからさ。

 二つもクローバーをあげたら、虹架ちゃんどんな顔するかな?
 喜んでくれるといいな……。

 そんなことをぼんやり考えながら歩いていて、目の前に車が猛スピードで迫っていることに気づかなかった。


「うわ……っ!」


 パッパー! という大きなクラクションの音がひびいた。

 車のライトが両目に飛び込んでくる。
 まぶしくて目を開けていられない。

 あ、やばい。

 そう思った直後、キキーーッ! という急ブレーキの音が聞こえた。


「……っ、あ……」


 車のライトが飛び込んできた直前に頭をかすめたのは、虹架ちゃんの優しい笑顔だった。

 どうしよう、消しゴム借りっぱなしだ。

 本当は忘れてないのにウソついて借りたのに。
 せっかく四葉のクローバーも見つけたのに。

 もう一枚見つけようなんて、よくばりだったのかな……。


< 69 / 98 >

この作品をシェア

pagetop