ハリボテロミオの夏の夢

プロローグ


あ……これ。


「スタート!」


『いつもの』だ……。

カチンッ!という心地いい音で、それは始まる。

体が石にでもなったように強張って、僕は指一本すら動かせない。
声なんて、もってのほかだ。

でも、
でも何か……何か言わないと!

そう思うのに、声の出し方を忘れてしまったように、喉の奥に冷たい空気だけがまとわりつく。

あんなに練習したのに。
あの時はスラスラ言えたのに。

なのに、

なのに、なんで?

なんで……。

なんで!!!


「カット!」
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