【完結】Blackberry

32 火炎

side一ノ瀬燐牙

その日は梨紗とオリオンに来ていた。
彼女たっての希望だ。
彼女はエッグベネディクトとカフェオレが気に入っており、俺が作るそれを食べたいと言ったのだ。

「梨紗さん、お久しぶりですぅ!」

綺羅が人当たりの良い笑顔で挨拶する。

「こんにちは。
ごめんね、綺羅君、突然来ちゃって。」

「いえいえー!
梨紗さんなら大歓迎ですー!」

2人はそう言って談笑し始めた。
梨紗と綺羅は相性が良いらしく、猫派か犬派か、などくだらない話で盛り上がっていた。

そんな情景を微笑ましく見ながら、俺の手は料理を作り上げていく。

「できたぞ。
ほら。」

「わぁー!
ありがとう、燐牙さん!」

梨紗は嬉しそうに受け取る。

つられて笑ってしまう俺を、綺羅はニヤニヤして見ていた。

「んだよ、綺羅!怒」

「いえ、別に、ねぇ?」

俺のすごみにも綺羅は全然こたえた風はない。

「もう、2人とも、喧嘩しないでー。」

「ヤクザの挨拶だよ。」

「まぁ、そんな感じですぅ!」

そんなほのぼのした時…

入り口が開いたと思ったら、火炎瓶が投げ込まれた!

「梨紗!
こっちに!
誰か、水を!」

激しく火花を散らす火炎瓶。
爆弾じゃなくて良かったが…

鎮火した後、俺たちはもちろん話し合った。

「一体誰がこんな事を…?」

綺羅が言う。

「そりゃ、海勝会に決まってるだろ。」

俺は答える。

「うーん、僕たちとガチ喧嘩したいみたいですねぇ。」

「しかし…
俺がここに居ると分かってか…?
それとも、ただの偶然か?」

しかし、いくら話し合っても、コレ!という結論は出なかった。

俺は梨紗の安全のため、一度屋敷に戻ることにした。

屋敷に帰ると、兵藤がやってきた。

「燐牙さん、お話があります。」

「分かった、すぐ行く。
梨紗、少しテレビでも見ててくれ。」

「はぁい。」

俺は応接室に向かった。

「実は…
どうも一連のガサ入れは内部からの裏切り者では無いようです…」

「じゃ、何だ?」

「燐牙さん、亜美さんを覚えていますか?」

「亜美…?」

誰だったっけ?とか、ふと思った。

「あぁ、亜美か!」

俺は思い出した。
しばらくの間セフレとして、後ろ盾になっていたキャバ嬢だ。

「その、亜美さんが、海勝会に情報をリークしているようなんです…」

「…なるほど…
それで、関連企業まで洗い出せた訳か…」

「それから、資金倉庫の位置がバレている可能性があります。」

「何だと!?
すぐに移動して、証拠を隠滅しろ!」

「分かりました。」

「亜美、か…」

誰も居なくなった応接室で、俺はそう呟いた。

女だろうと、梨紗を危険に晒す者は許さない。
そう、決めていた。
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