【完結】Blackberry

4 逆盃

「お取り込み中すいません、燐牙さん。」

彼はチラリと私を見ると、また男に視線を戻した。
男は燐牙(りんが)という名前らしい。
上の名前は知らないが…

「どうした?」

少し親しみのある声で、燐牙という男はそう尋ねた。

「えぇ…」

「何だ?
悪い情報か?」

「はい…
木本(きもと)含める6名が逆盃を切り出してきました…」

「逆盃…
6名も、か。」

「はい、後は、もう燐牙さんがお察しの通りです。」

「分裂抗争になるかもしれねぇ、って事か…」

「はい。
どうされますか?」

「分裂抗争に負けた方は自滅あるのみだ。
徹底的に叩き潰す。
ヒットマンに道具を渡して送り込め。
6人の首をあげたら、どんな報酬でも渡すと言え。」

「…わかりました。」

「何だ?
まだ、何か言いたそうだな?」

「…燐牙さんも気をつけてください。
向こうもこっちの首を狙っているんですから。」

「わーってるよ。」

そして、兵藤さんは下がっていった。

「…あなた、誰なの…?」

私はついそう聞いてしまった。

「鬼千会、若頭、一ノ瀬燐牙だ…」

鬼千会!?
関東を牛耳るトップクラスのヤクザだ!
その若頭って事はNo.2!?

やばい…
本格的にやばい…

私が家に帰れる可能性は限りなくゼロに近くなった。

「…お前、俺の…
あー…
いや、何でもない…」

「?」

「…セーラー服似合うじゃん。」

「え、あ、少し無理がありませんか…?」

「そこが良いんだよ。
そんな女を脱がせて、シャブでアヘらせて楽しむのが俺たちの娯楽なわけ。」

悪趣味ッッ!

私は乾いた声で笑った。

「まぁ、分裂抗争が終わるまでは引きこもる事になるだろうからな…」

「あの、分裂抗争って…?」

「あぁ、組が分裂して起こる抗争だよ。
今回、《《逆盃》》、つまり親と子の縁を切るっつー事態が6人同時に起きた。
これは普通じゃ無い。
つまり、その6人は俺たちから離反して、新しい組を立ち上げようとしてる。
それは明白だ。
しかし、ヤクザってのは、見栄とメンツの世界でね。
そんな事を許すとなったら、俺たち鬼千会のメンツに関わってくる。
そんなぬるいヤクザに仕事を依頼する企業も金持ちも居なくなる。
分かるか?」

「何となく…」

私は答えた。

一ノ瀬さんがじっと私の唇を見つめる。

「キスさせろ。」

そして、今度は私を広い広いソファに押し倒して、ねっとりとした甘いキスをされた。

そういえば…
ここのところ、母の手術の心配で、寝て…ない…な…

私はキスされながら、深い眠りについていった。

「俺のキスで寝るとか、贅沢すぎんだろ…!」

そんな声が聞こえたか、聞こえてないか、それは分からない。
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