最愛の灯を吹き消す頃に。
基本的にちーくんはいつも優しかった。

小説のことを大切にしているちーくんのことが大好きだからその環境を守りたいのは私も同じ気持ちだった。

それでもちーくんや私の部屋で二人で過ごしている時は、ひと段落つくたびに「いつもごめんね」って言って私を抱き締めた。

ちーくんの胸の鼓動が鼓膜のすごく近くで聴こえる気がした。
カタチになんかなって見えなくてもそばにいるだけで命を感じることができるのに。
それだけで私は幸せなのになぁなんて何度も思ったりした。

夏休みが終わる頃に感じ始めていた、ちーくんの二つの灯が統合していくような、まるで錯覚。

小説への想いが強くなるたびに夕方の西陽のように私の視界を白く染めていく。

他には何も見えなくなる。

それだけでいつまでも生き続けてくれるような、人間の創造としてあり得ないことを願ってしまった。
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