最愛の灯を吹き消す頃に。
「元宮契くんが亡くなりました」

木曜日。

いつもは朝一で九条先生のところに行って、ホームルームまでには戻ってきていた佐々木さんがなかなか戻って来なかった。

みんなが心配し始めた時、佐々木さんは九条先生と一緒に教室に入ってきた。

笑顔の無い二人。
いつもと違う空気が教室内に充満した。

俯く佐々木さんの横で九条先生が告げた言葉。
その言葉に超能力が仕掛けられているみたいに、教室の時間が止まったような感覚に陥った。

佐々木さんが泣き腫らした目で何か言っている。
音を消したテレビみたいに、二人の口だけがパクパクと動いている。

何も聞こえない。
理解ができない。

私の口も何か言おうとしている。

声を発しているはずなのに自分の声すらも何も聞こえない…!

クラスメイト達が私を見ている。

何。

何これ。

何言ってんの、どうなってるの…なにっ………

「う………うあああああああっ!!!」

耳を(つんざ)くような叫び。

私だ。

他人の身体になってしまったみたいに制御が効かない。

溢れる叫び。
共鳴するようにクラス中から響く嗚咽。

嘘だ。
嘘だ。
うそうそうそ………



ああ


地獄だ。
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