エリート救命医と身代わり花嫁の再会愛。
早く戻りたい。本物の名前で、本物の私で。
スマートフォンの画面を何度か確認した。
航大くんからのメッセージはない。
でも、今日中に戻ると言っていた。もうそろそろ帰ってくるはず……
玄関の鍵が開く乾いた音が響いた瞬間、私は立ち上がった。
「おかえりなさい、航大くん」
扉が開くと同時に、少し疲れた様子の航大くんが、私を見た瞬間にふっと表情を緩めた。彼は、吸い寄せられるようにこちらへ歩み寄り、大きな体で私を丸ごと包み込むように抱きしめた。
「……ただいま、はるちゃん」
彼は私の肩に顔を埋め、深く長い息を吐き出した。病院の空気を全部吐き出すみたいに。
その無防備な重さが、胸をぎゅっと締め付ける。普段はどんな状況でも揺るがない人が、こうして私の前だけ力を抜いてくれる。それが、たまらなく愛おしかった。