エリート救命医と身代わり花嫁の再会愛。
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凛太郎くんが掴んだのは、一枚の航空券の記録だった。
「麗は今、パリにいる。院長が用意したらしい。院長の大学時代の友人がやっている診療所で受付をしていたらしいが、ここ三ヶ月ほど動いていないらしい。表向きは『療養』だが、実態はただ匿われているだけだ」
「……パリ?」
思っていたより、遠かった。同じ国にいるとも思っていなかったけれど、パリという言葉を聞いた瞬間に麗がひどく遠い場所に感じられた。海を越えた場所に、ずっといたのだ。
麗のことを思い出そうとした。
幼い頃、まだ伯父の家族とも普通に行き来していた頃から麗は少しおしゃれで、少し気が強くて、でも笑うと可愛い子だった。いつの間にか距離ができてしまっていつからか嫌われてしまっていたようだけど……それからは正月くらいしか会わなくなった。
最後に会った時は、確か去年の正月だったはず。麗は私の仕事の話を聞きながら、どこかぼんやりとした目をしていた。
笑ってはいたけれど、目が笑っていなかった。あの時は気にしなかった。今思えば、あの頃からもう、何かが始まっていたのかもしれない。
「凛太郎くんの伝手で、現地に確認を取ってもらった。麗は体調を崩しているわけじゃない。元気らしい」
「じゃあ、なぜ……」
言いかけて、止まった。なぜ姿を消したのか。その答えは、まだわからない。
「凛太郎くんが、もう一つ情報を掴んでいる」
航大くんが続けた。声のトーンが、少し慎重になった。こういう声の変化に、最近少しずつ気づけるようになってきた。大切なことを話す前の、静かな準備の声。
「麗は、自分から逃げたわけじゃないかもしれない、という話だ」