エリート救命医と身代わり花嫁の再会愛。
湊生が封筒を手に取った。こちらを一度見て頭を傾げている。まだ何が入っているのか、わかっていない。
開ける手つきが、ゆっくりとしている。まだ余裕がある証拠だった。
でも、最初の一枚を見た瞬間、その手が止まった。
俺は黙って見ていた。湊生の表情が、少しずつ変わっていく。余裕が剥がれて、代わりに何かが滲んでくる。
二枚目、三枚目と紙をめくる音が静かな空間に響いていた。そして四ページほど開くと手が、微かに震え始めた。
「これは……っ」
声が、揺れた。
あれだけ計算高かった男が、言葉を失っている。俺はその変化を静かに確認した。怒りを出すつもりはなかった。
でも、この表情を見た時胸の奥で何かが静かに解けていく感覚があった。
「すでに弁護士が告発状を提出しています。警察への情報提供も、同時に行いました。麗さんの保護については、パリの現地弁護士が本日中に動きます」