エリート救命医と身代わり花嫁の再会愛。
***
どれくらい時間が経ったのか、わからなかった。
部屋の中は静かで、間接照明の光だけが薄く漂っていた。航大くんの腕の中で、私はぼんやりと天井を見ていた。
体が、まだ熱い。
「……ずっと、ここにいていいのかな?」
気づいたら、そう呟いていた。
航大くんの腕に、少しだけ力が込もった。
「当たり前だろ」
その声が、低くて、少しだけ掠れていて——なんだか、今まで聞いた中で一番好きな声だと思った。
「離さないから」
「……うん」
「逃げようとしても、追いかけるから」
「逃げないって言ったじゃない」
「念のため」
私は小さく笑った。航大くんも、胸の奥で笑っているのが伝わった。
彼の手が、私の髪をゆっくりと撫でた。何度も、何度も。眠くなるくらい、優しく。