従姉の代わりに結婚したら、救急医(元カレ)の執愛に捕まりました。
パン屋にもう少し到着するというとこでガラス越しに、見覚えのある背中が見えた。
だけど気にしないでパン屋に入ると、入店を知らせる鈴が綺麗に鳴る。その音に店員さんが「いらっしゃいませ〜」というのが聞こえてくる。
「……は、悠南」
この人は、凛太郎。楪凛太郎。父の兄の子どもなので従兄であり、楪総合病院の薬剤師をしている。昔は「凛くん」って呼んでいたけど今は呼びにくい。
「……久しぶりだね、凛太郎さん」
声をかけた瞬間、凛太郎の肩が小さく震えた。振り向いた顔は昔よりずっと大人びているが、どこか幼い面影が残っている。童顔だった頰が、少しシャープになっていた。
名前を呼ばれて、少しだけ胸がちくりと痛んだ。二年前の、あの日の記憶が一瞬で蘇ってくる。
気まづくて目線を逸らすと、すでにミユキさんとランさんはもうパンを購入していて「じゃあ、先に戻ってますので」と気を利かせてさっさと帰ってしまった。