エリート救命医と身代わり花嫁の再会愛。
「……んっ」
甘い吐息が漏れた。私は自分から彼の首に腕を回した。
角度を変え、何度もキスをした。唇に、額に、瞼に、鼻先に、頬に、そしてまた唇に一つ一つのキスが違う温度を持っているようだ。
「はるちゃん……可愛い」
彼は私の短い髪を指でそっとかき回しながら、耳元で囁いた。
「君の髪が短くなっても、色が変わっても、全部俺は好きだよ。どんな姿の君も、俺の目には一番きれいだ」
それからゆっくりと私の体をソファに横たえ、自分も隣に横になって、腕の中に包み込んだ。大きな手が背中をゆっくりと撫で続ける。
ソファの温もりと、彼の体温と、耳元に届く落ち着いた息づかいが、じわじわと私の強張りをほどいていった。
航大くんは私の首筋に顔を埋め、髪の生え際に、うなじに、丁寧にキスを落としていく。
「はるちゃん、好きだ。君の声も、笑顔も、震える指先も、全部好きだ。もう二度と、一人にしない。君は俺のものだ。俺だけの、はるちゃん」
「……うん」
私は彼の胸に額を押しつけるようにして、小さく頷いた。涙はまだ止まらないのに、胸はこんなにも温かくて甘かった。長い間、凍えていた心が、ようやく溶け始めていた。
ずっと一人で抱えてきた。誰にも話せなかった。話してはいけないと思っていた。なのに今、全部吐き出して——不思議なくらい、軽かった。
「愛してるよ、はるちゃん」
その囁きが、夜通し耳元で響いていた。
だが、航大くんが、二年前から密かに調べ続けていた証拠や、すでに動き始めていた計画を——私はまだ、完全には知らなかった。
けれど今はただ、この腕の中にいたかった。
偽りの名前ではなく、本当の私として、彼に愛されていたかった。