雨音が響く星空の下で
目の前の天使から渡されたこの愛おしいクッキーは家宝だ、家宝。

冷凍保存して後世まで受け継ごう。


俺が甘党だと聞くなり、ぴょんぴょんと跳ねながら喜ぶ彼女についつい口角が緩む。


「あ、俺がお礼楽しみにしてるって言ったから?」

「…そうです。すっごい悩みました。」


あれから数日経ってるということは、数日間俺のことを考えてくれたと思ってもいいのか?

お礼楽しみにしてる、と言ったのは確かだけど、

それは本当にお返しが欲しいとかそんなのではなく



なんとか時雨ちゃんとの関係を繋ぎ止めたかったから。



せっかく時雨ちゃんと話せるようになったんだから、この絶好の機会を逃すまいと咄嗟に出た言葉がそれだった。


「ハハハやっぱり時雨ちゃんは真面目だね」


そう言うとパァっと明るく微笑んでいた彼女の表情が少しずつ陰りを帯びていく。

____そうだ、ヘアピンを渡しに行った時も今みたいに彼女は重苦しい陰りを身に纏っていた。



彼女はたまにこの小さい体では抱えきれそうにないとてつもない闇を抱えているんじゃないかと思わせるような表情をする。


可愛くて仕方ないこの子にはたくさんの視線が常に付き纏っていて、いつも居心地悪そうにしているように俺からは見えていた。

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