雨音が響く星空の下で
この期に及んで出てくる悔いに涙が滲む。

これ以上前に進むことを拒むかのように身体は雨でかさ増しされた制服たちの重みを実感し始めた。


喉の奥がギュウっと締まり、嗚咽が漏れる。


泣きたく、ないのに。


私にはこの1歩を出す勇気も…ないの?

この苦しみから逃れる唯一の選択に踏み切る勇気も私にはないの?






「______時雨ちゃん…?」







突然背後から聞こえた私の名前を呼ぶ男の人の声。

私のことを「時雨ちゃん」と呼ぶ男の人は2人だけだ。
けれど、どっちなのか朦朧とする意識の中でも瞬時にわかった。


あの人のようない猥らしい欲情を含んでいない、
泣きたくなるくらい優しくて温かくて、擦り寄りたくなるこの声の持ち主を私は知っている。


何度も私の名前を呼びながら少しづつ近づいてくるその存在に体力の限界からか、安堵からか力が抜けていく。


振り返ると


もう数ヶ月は教室から眺めていた橘先輩の姿があと5メートル先にまで近づいていた。




「……ヒッっ、はぁっっ…っヒッせんっ、ぱ……」





先輩に手を伸ばそうとすると突然横から降ってきた強い飛雨に力尽きてしまった身体が車道側へ蹌踉ける。




待って、と呟く暇もなくキィィッと急ブレーキの音が聞こえた次の瞬間____



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