娘のパパと再会したら今度こそ逃げられません
朱音はうれしそうにへヘっと笑う。

「ママと朱音、いっしょ。いっしょにかわいい」

「朱音……」

ご機嫌な声をあげる朱音があまりにもかわいくて、杏奈は朱音の頬を両手で包み込んだ。

「……そうだな。朱音ちゃんに大賛成。俺もママはかわいいと思う」

蓮斗がかみしめるようにつぶやいた。

「そ、そんなこと」

朱音に話を合わせているだけだとわかっていても、やはり照れくさい。

頬が熱くなるのを感じながら蓮斗に顔を向けると。

それまで朱音に向けられていた蓮斗の蕩けるような甘い眼差しが、いつの間にか自分に向けられている。杏奈の鼓動はあっという間に速まった。
 

運動会で疲れていたのか、朱音はオムライスを食べ終えた途端まぶたをおろすと、椅子の背にもたれて寝息を立て始めた。

あれほど楽しみにしていたケーキも、一口も味わうことなく夢の中。

< 121 / 249 >

この作品をシェア

pagetop