娘のパパと再会したら今度こそ逃げられません
蓮斗に誇らしげに乗って見せる、朱音の笑顔が目に浮かぶ。

「蓮斗君より朱音の方が上手って言ってた」

へへんとばかりに胸を張ると、朱音は「喉渇いたー」と言ってテーブルの上に置いていたお茶をごくごくと飲み干した。

「朱音、かけっこも一番」
「う、うん」

担任との日々の連絡ノートに、朱音はかけっこの練習で毎回一位でゴールしていると書いてあった。

スポーツが苦手で一位など期待したこともなかった自分とは大違い。

高校の頃バスケ部で活躍していた蓮斗の遺伝子を引き継いだのだろう。

顔立ちもすでにしっかりできあがっていて、親の欲目だとしても美少女という表現がしっくりくる整った容姿。

それも蓮斗にそっくりだ。

「ママ?」

朱音はぼんやりしている杏奈をきょとんと見上げている。

「あ……なんでもないよ」 

そう言いつつも、蓮斗の名前を聞いた途端に胸の奥がずんと重くなった。

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