娘のパパと再会したら今度こそ逃げられません
「それは、あの……」

肩を落とした蓮斗の声があまりにも悲しげで、どう答えればいいのかわからない。

「お待たせしました」

その時、杏奈の手もとにアイスコーヒーが運ばれてきた。

グラスの中から聞こえてきたカランという氷の音に、ホッと息を漏らしわずかに落ち着きを取り戻す。

蓮斗も前のめりになっていた体を戻すと、ゆっくりと口を開いた。

「なにがあった? 教えてくれないか?」

決意が滲む固い声に、杏奈も気持ちを整えうなずいた。

「見晴らしが最高ですね」

杏奈は蓮斗の自宅リビングからの眺望にほおっとため息をついた。

三十階建てのマンションの最上階。眼下に広がる景色は圧巻だ。

都心に並び建つ見覚えがある建物を見下ろしていることが、信じられない。

ここは蓮人と待ち合わせていたカフェから二駅隣りにあるタワーマンション。

安西製薬まで徒歩圏内で、三年前に越してきたらしい。

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