こもれび日和
「うん。
 あの日から、なんか、
 世界が少し美味しそうに見えるようになったから」

蘭は、照れたように下を向き、
それから、そっと律の顔を見ました。

「私もです。
 あの日から、
 駅までの道とか、
 通学電車とか、
 全部、ちょっとだけ物語っぽく見えるようになりました」

風が、二人の間を通り抜ける。

街のざわめきが遠くで溶けて、
丘の上だけが小さな世界みたいになる。

律は、
膝の上でぎゅっと握っていた手を、
そっと開きました。

(言うなら、今だ)
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