こもれび日和
「……そんなの、いつになるか」

「いつになるか分かんないから、
 逆に、楽しみじゃない?」

「楽しみ、ですか?」

「俺、蘭さんの新作が出るたびに、
 『これでまた一歩説得に近づいた』って
 数えることにするよ」

「なんですか、それ……」

蘭は、
泣きながら笑った。

「律さんの本も、
 一冊出るたびにカウントしていいですか」

「もちろん」

手を握る力が、
少しだけ強くなる。

「今日は、
 お父さんに
 『認めてもらえない』ってことが分かった記念日だな」

「そんな記念日いらないです」

「じゃあ、
 『いつかきっと認めさせるぞ第一歩の日』」

「……それなら、まあ」

ふたりの足音が、
少しだけ軽くなった。

空の雲の隙間から、
ほんのわずかに
夕焼けの色が覗いている。
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