オノマトペの友情リアリティーショー

【09 雨上がり】


・【09 雨上がり】


 人数の多さを利用したパスワークで、ワントップのキラキラにボールを集めて、ガンガンシュートをしていく僕たちのチーム。
 でも何か途中で言っていたけども、どうやらゴールキーパーのスタッフが元選手権王者らしく、全部止めてしまう。
 さすがに大人のキーパーは小学生のシュートなんて全部止めてしまう。
 子供用にゴールも小さいし、大人のゴールキーパーが手を広げただけで、もうそもそも入りそうなコースが少な過ぎる。
 それでも連携でゴールキーパーを左右に振ろうとパスを繋ぐが、ドスドスとチクチクのラフプレーにいちいち試合が止まってしまい、最高の形はまだ作れない。
 審判をやっているスタッフも向こうのチームに完全に肩入れしていて、全然上手くいかず、コーナーキックのミスキックから一気に、向こうのゴールキーパーまであがってきて、最後はそのゴールキーパーの弾丸シュートがキーパーをやっていたヌメヌメの手を弾いてゴールに吸い込まれた。
 そこから相手は徹底的なラフプレー作戦となり、向こうのファールには笛を吹かれず、ほぼ関係無さそうなところでガリガリが勝手に転んだだけなのに、それはこっちがファール扱いされて、完全に試合が壊れているような気がする。
 僕たちのチームが3点差付けられたところで、チクチクが大きな声で、
「まああれだ! さすがに審判がこっち寄り過ぎるから、ラフプレーナシでやんねぇと意味分かんねぇわ」
 それに対してドスドスが、
「勝ってるんだからこのままでいいだろ」
 チクチクが即座に、
「は? さすがにこんなレール敷かれてたらダサいだろ」
 ガリガリが少しイラつきながら、
「どっちでもいいから早くやろうぜ、クズ」
 何だか勝手に3オノマトペが険悪になってしまっている。
 するとキラキラがカッコつけながら、
「結局吾輩たちが弱いってことなんよ! じゃあこっからもっと頑張るんよ!」
 すぐにドスドスが、
「そういうことだよ、マジで」
 と言えば、また矢継ぎ早にチクチクが、
「は? 中東の笛とか言うじゃん。笛がこっち寄り過ぎて有利なんだよ。意味分かってる?」
 ドスドスが小さくチクチクのことを押すと、チクチクが小声で、
「意味分かんねぇ」
 と言って離れると、ガリガリがチクチクを指差しながら、
「逃げてんじゃん! チクチクぅ!」
 と言うと、チクチクがデカい溜息交じりに、
「全然サッカーのこと分かってねぇじゃん! 意味分かんねぇ!」
 と言いつつ、コート外に出てしまい、中央のセットポジションでボールを足でいじいじしているワクワクが、
「続き早くしようよー! 何でコートの外に出るのー?」
 チクチクは全員に聞こえるように、
「誰もサッカーのこと知らないアホだからやんねぇ、本当意味分かんねぇ」
 と言ったところでドスドスがデカい声で、
「誰がアホだよ! マジで!」
 と叫びながら、チクチクのほうへ走っていったので、僕はすぐにドスドスを追いかけて、というか追い越して、
「じゃあこうしよう! スタッフのゴールキーパーをやめてもらって、僕がそっちチームに入って、真っ直ぐ僕ら四対四で闘おう!」
 ドスドスも僕らのところへ来て、
「いやおれはペラペラに勝ちたいんだよ、やっぱ」
 僕はすかさず、
「もう勝ってるじゃん。仕切り直して二試合目しようよ」
 ドスドスは納得いっていない顔で、
「でもさ、その前にチクチクが腹立つこと言ってさぁ、マジで」
 チクチクがすぐに、
「は? 何も分かってねぇからだろ」
 と言ったところでワクワクも近付いてきて、
「何がそんなイライラしているの? そもそも何でそんな口が悪いの? 誰も攻めていないよ?」
 ドスドスが割って入るように、
「いいや、チクチクがおれのこと攻めていた、マジで」
 ゴールキーパーのヌメヌメも近付いてきて、意を決した表情で、
「分かるよっ、ぼく、人のことが気になるんだよね、自分のこと心底バカにしているんじゃないかって。だから悪口で相手を制御しようとしているんでしょ、でもそういうの、良くないよっ」
 キラキラも来て、
「悪口で目立っても人気出ないんよ」
 僕はペラペラのスイッチをあえてオンにしてから喋り出した。
「そもそも一回は僕たちが気に入らなくて結託したんでしょ、そのままでいいじゃないか。悪口の言い合いをしたってあんま楽しくないでしょ、実際のところ」
 ドスドスもチクチクも黙って聞いてくれているし、ガリガリも近付いてきた。
 だからってガリガリも口を挟んでもこないので、僕が続ける。
「もう悪口は止めようよ、軽口はいいけども、悪口はやっぱりもう楽しくないよ。もっとさ、悪口を言うにしてもユーモラスにしたらいいじゃないか」
 即座にワクワクがカットインしてきて、
「ユーモラスの悪口って何ぃー?」
 と言ってきて、僕は吹き出して笑ってしまってから、
「急なその無茶ぶりがもはやそうだよっ」
 と言うと、ドスドスもチクチクも笑い、じゃあと思って、
「例えばガリガリはすぐクズって言うけども、葛餅とか、星屑とか、いろんなバリエーションがあると楽しいんじゃないかな」
 ガリガリは吹き出してから、
「何それ、我が大変じゃん」
 とツッコむように言えば、キラキラはサムアップしながら、
「いいや! 大変だからやるんよ! それがカッコイイことなんよ! えっと! ゴミクズ!」
 ヌメヌメがギュッと目を瞑りながらも、
「もっと酷くなっちゃってるよ!」
 とツッコむと、ワッと笑いが起きた。
 僕はこの流れでもう一押しすることにした。
「性格上止められない部分もあるかもだけども、ちょっとずつ楽しい方向にスライドできたらいいんじゃないかな」
 と言ったところで、いつの間にか来ていたトロトロが口を開いた。 
「自分の中で、一旦、整理して、みても、いいと思うよ。ちょっとだけ、黙って、考えるんだ。とは言え、トロトロのように、遅すぎは、ダメだけどねっ」
 するとチクチクが、
「は? トロトロは考える時間が長いだけで遅いわけではないでしょ、見てれば分かるよ」
 キラキラは笑顔で、
「今の台詞は主人公っぽいんよ、吾輩が言ったことにしたいんよっ」
 即座にドスドスが、
「なるはずねぇだろ、マジで」
 とお笑いの雰囲気で言って、場が和んだ。
 僕はもう言う必要も無いかもだけど、と思いながらも、
「すぐに何かリアクションしないと負けだって思わなくていいんだ、みんなみんな、性格はもう尊重しているよ。勿論僕もそうなんだけどもね、ついペラペラといっぱい喋っちゃってるよね」
 それに対してワクワクが、
「でもそれもペラペラのキャラだからいいんだよなー! ところで俺のキャラって結局明るいでオーケー?」
 即座にガリガリが、
「ウザいくらいの質問だろ、ワクワクのキャラは。く……まあいい」
 ワクワクはすかさず、
「く、って何を言いかけたのー? 口は災いのもとかなぁ!」
 チクチクが溜息交じりに、
「は? そりゃほぼ全員だろ。まあヌメヌメとトロトロは全然違うけどな」
 と言ったところでみんなで大笑いした。
 その時だった。
 ゴールキーパーをしていたスタッフが万雷の拍手をしてきて、そのまま喋り出した。
「もうこれでいいですよね! わざわざギクシャクするような仕掛けばかりいっぱい作って! オノマトペ児童たちはもう上手くいったんです!」
 と声を荒らげた。
 すると、つまらなそうな顔をした、一番年上だと思われる、威厳がありそうなスタッフが、そのスタッフに近付いて何か耳打ちすると、そのスタッフは青ざめて肩を落とした。
 その後、その威厳がありそうなスタッフが他のスタッフを全員呼んで、カメラマンのスタッフ2名だけ残して、いなくなってしまった。
 とりあえず、というわけで8オノマトペでサッカーをしたり、また雨が降ってきたら、体育館の中に移動して、卓球トーナメントをしたりしてずっと一緒に遊んでいた。
 これで三日目も終了というわけで、それぞれでまたシャワーを浴びたり、夕ご飯の安いお弁当を食べたりして過ごした。
 さぁ、そろそろスタッフからのインタビューがあるなぁ、と思って、もう調子に乗ったことは言わないし、そもそも思ってもいないし、残りのこの友情リアリティーショーはみんなで楽しく遊ぶだけにしようと思っていると、案の定スタッフが僕の教室に訪れた。
 そこでスタッフは衝撃の質問をこちらにぶつけてきた。
「ぶっちゃけ、嫌いな子はいますか?」
 僕はまず黙った。
 すぐに見切り発車で喋り出したらダメだと思ったから。トロトロも言っていた。まずは脳内で考えること。
 またヌメヌメのようにスタッフの顔色をしっかり伺うと、無表情の奥底で、何だか申し訳無さそうな気持ちを持っていることを僕は見抜いた、と思う。
 どうやら少なくてもこのスタッフは本心でそういうことを聞いてきているわけではないらしい。
 だからってそのまま『いないです』と答えても『本当は?』と詰め寄ってくるだけだと思う。
 そこからの失言待ちというか、何か言ったらその映像をあとでみんなの前で流すとか、そういうことだろう。
 ペラペラのスイッチはオンにしているけども、使うのは口じゃない。脳内でペラペラと喋って、言いたいことをしっかりまとめるんだ。
 言いたいこと、でも時にはエモーショナルに感情を爆発させることも大切だ。
 ドスドスやチクチク、ガリガリのように強い言葉を使うべきタイミングというのもあって。例えば友達を守る時とか。
 そう、これは自己保身じゃない。
 こんな質問をして仲を切り崩そうとするスタッフを打ちのめす戦いだ。
 質問には答えない、質問する側が攻め続ける形にならないようにしたい。
 そう、ワクワクのようにこっちが質問することが一番の攻撃なり。
 僕は深呼吸してから、声を出した。
「そんなこと、全員に聞いているんですか?」
 明らかにこのスタッフは動揺し、慌て始めた。
 額から汗を滲ませて、少し俯きがち。
 こここそ、ドスドスやチクチク、ガリガリのテクニックを使うタイミングだ。
 あえて激昂し、強い言葉で威嚇して、まず僕はこのスタッフを泣かすつもりで言葉攻めしよう。
 結局のところ、何か区切りができないと終わらないんだろう?
 向こうからしたら面白いことを喋ったり、面白い場面が起きないと、終わりにはならないんだろう。
 ならば向こうに『もう終わりだ……』と思わせればいい。
 僕は少し小声で、まるで独り言のように、
「は? この程度で喋れなくなるってマジで何なの? 意味分かんねぇ」
 と溜息をつくと、スタッフの顔が強張っていくことが分かった。
 ここからは感情を思いきりオンにする。
「というか! やっぱこんなやり方もうやめたほうがいいわ! ホント! 何が嫌いな子はいないですかって? そんなんで良いと大人が思ってんのっ? クズ!」
 スタッフは明らかに戦々恐々としている。
 もう一押しだ。
「友情リアリティーショーだよ? 友情が作れたならあとは深化させていくだけじゃん! それなのにまた何かいざこざを起こそうとしていて? ホント、は? って感じ! ちゃんとした言葉のやり取りしろよ! その程度でテレビって作れるんだ! さすがオールドメディアだな!」
 スタッフが耳を塞いでその場に上体をうずくまったので、さらにデカい声で叫ぶ。
「は? 言われたからやってるだけじゃねぇからな! オマエもそのクズみたいな連中の一員なんだからな! 大人が何も言わずにクズに加担しているということはオマエもそのまんまクズなんだからな! ちゃんと自分が最悪の人間だって自覚しろよ! 逆にちゃんと自覚できてますぅー? 質問答えられまちゅかー? 日本語喋れまちゅかー! ザコ!」
 何かもう、他のメンバーも言わないような言葉が出てしまったが、こっちのスタッフはもう震えるだけで何もできなくなったので、僕は同じ階層にいるはずのドスドスの教室を訪れることにした。
 すると、ドスドスの部屋からは誰かの情けない声が聞こえてきていて、僕はノックもせず、入ったタイミングで、ドスドスの怒鳴り声が聞こえた。
「嫌いなヤツなんていねぇんだよ! 舐めたこと聞いてんじゃねぇよ! マジで!」
 ドスドスがスタッフの胸元を掴んで、睨みながら激昂していた。
 スタッフはビビり散らかして、もう泣き出す寸前だった。
 扉の僕を見るなり、ドスドスが、
「ペラペラの威勢の良い声が聞こえたからさ、こういう時こそ使っていいんだよなって思ってやってやったぜ。さすがペラペラだな、マジ尊敬するよ」
 僕は少しぽかんとしつつも、
「そ、そんなところ尊敬されても」
「いやマジでその機転、やっぱ最高だよ」
「じゃあ他の部屋にも行こう! きっとみんな困っているはずだから!」
 ドスドスは笑いながら、
「ガリガリだけ嫌いな子言っていたら笑う」
 と言ったので、即座に、
「そんなわけないでしょ」
 とお笑いのテンションでツッコミながら、二階へあがっていった。
 すると今度は大人の、スタッフが激昂しているような声が聞こえて、その教室に入ると、ガリガリが床に倒れて、スタッフが立った状態で上から、
「言えよ! 嫌いな子! いるんだろ! なあ!」
 即座にドスドスがそのスタッフへ向かって走り出すと、ガリガリは顔を伏せたまま、
「いねぇよ! いくらクズスタッフが我に暴力振るおうがいねぇもんはいねぇんだよ!」
 と言ったと同時に、ドスドスがスタッフの背中を飛び蹴りして、スタッフは前のめりにぶっ飛んだ。
 ドスドスは優しくガリガリを立たせて、
「頭おかしいスタッフからは逃げるぞ! マジで!」
 と言い、ガリガリも小声ながらも「ありがとう」と言って、3オノマトペで教室を出ると、チクチクが教室のほうにツバ吐きながら廊下に出てきて、僕らを目視するなら、
「は? どうしたオマエら? 意味分かんねぇ」
 と言ったので、とりあえず説明をすると、チクチクが、
「そう、小生のとこもそう。何が元選手権王者だ。喧嘩は二軍以下だよ」
 と言って、あの運動神経抜群だったスタッフをのしたんだ、本当に喧嘩強いなぁ、と思った。
 僕たちは三階へ行くと、トロトロが廊下に出ていて、僕は即座に、
「大丈夫だったっ?」
 と言うと、トロトロが大きく頷いてから、
「論理的に、お話すれば、済むことだよ」
 と、やっぱりトロトロはしっかり思考すれば最強だと思った。
 そのタイミングでトロトロが「でも」と言うと、
「ヌメヌメの、泣き声が、聞こえるんだ。トロトロも今、終わったところで、早く行かなきゃ」
 僕らはトロトロをダッシュで追い越して、ヌメヌメのいる部屋に入ると、困惑したスタッフがその場にうずくまっていた。
 ヌメヌメは大粒の涙を流して、
「嫌いな子なんていないのにー! いないのにー!」
 と泣いていた。
 チクチクがヌメヌメの手を握って、
「は? ずっといる必要無いだろ、早く小生たちと一緒に行こうぜ」
 と言って引き連れて、僕たち6オノマトペはそのまま四階へ向かった、が、ドスドスは「トロトロのペースに合わせておれは行く。トロトロの用心棒はおれがやるから」と言って僕の背中を優しく押した。
 四階へ行くと、明らかに足音がすごい教室があって、扉を開けるとキラキラがいて、
「お! みんな! コイツ嫌いな子聞いてきたんよ! コイツら本当におかしいんよ! 録画したスマホ! パス!」
 そのスマホを僕にパスしてきて、しっかりキャッチした。
 そのスタッフがこっちへ向かって走り込んできたところで、軽くチクチクが足を掛けて転ばせて、そのままスタッフは「イテェ~」と言って動かなくなった。
 キラキラが僕らへ向かって、
「あとは誰?」
 と言うと、ガリガリが「ワクワクだな」と答えると、キラキラは笑ってから、
「まあワクワクは大丈夫なんよ、きっと質問攻めしてスタッフ半べそかいてるんよ」
 と言ったんだけども、まさしくその通りで、ワクワクは僕の時と同じようにスタッフが耳を塞いで縮こまっているんだけども、ずっとワクワクがデカい声で質問攻めしていた。
 トロトロとドスドスも来たところで、僕は、
「じゃあ本陣を! 四階の職員室にいる、一番偉そうなあのスタッフに攻め込もう!」
 僕たちはトロトロのペースに合わせて、ゆっくり進みだした。
 その歩みの時に、僕とトロトロで作戦を練り、時にヌメヌメが妙案を挟み、職員室の前に来たところで、トロトロとヌメヌメだけがまず顔を出した。
 すると思った通り、偉そうなスタッフは舐めたような発言を繰り返し、
「おねんねしなぁ~、お子ちゃまは~」
 とバカにしたような甘ったるい声で言い放って自分の教室に戻そうとしてきた。
 そのタイミングでガリガリが顔を出し、できるだけ理不尽な強い言葉は使わず、正しいことだけで捲し立ててもらう。
「く、あの、スタッフが嫌いな子を聞いてきて、気持ち悪いんで、どうにかしてくれないですか」
 ガリガリの登場にあからさまに嫌そうな顔をしたことは、廊下側にある通気口というか、足元にある開く扉のような隙間から隠れて見てとれる。
 ガリガリはとにかくペースを崩さず、主に「気持ち悪い」を多用して、責め立てる。
 すると面倒クサそうになった偉そうなスタッフがガリガリの肩を強めに押し、ガリガリが吹き飛ばされたタイミングで僕たち全員が顔を出す。
 キラキラが叫ぶ。
「ここまではスマホで録画したんよ! んでこっからはオフにしたから、あとはボッコボコにやっちまうんよ!」
 そう言った刹那、偉そうなスタッフの口元から笑みが一瞬こぼれたところを僕は見逃さなかった。
 そこで僕は叫ぶ。
「まあボコボコと言っても全部言葉だけだけどもね! だって僕たちはスタッフから嫌いな子を聞かれて精神的にボコボコにされたんだから言うくらいはいいでしょ!」
 みんな分かってくれたみたいで、口々に怒号を飛ばすだけで、実際の作戦だった殴る蹴るはしないことにした。
 そうか、この部屋には常時カメラが設置されているんだ。だから暴力を振るったら、それを盾にして何かすることが向こうにはできるんだ。
 でもそこはもう僕がケアしたから安心。
 みんな本当に言うだけで、手を出したのはあの偉そうなスタッフがガリガリを押した時だけ。
 まあ多分あの偉そうなスタッフはカメラの死角になる位置で押したんだろうけども、そこはちゃんとキラキラが撮影しているし。
 結局、あの偉そうなスタッフは僕たちの言葉が可愛くなるくらいの放送禁止用語を叫んだ。そのタイミングで僕が設置しているカメラの一つを発見し、一番背の高いドスドスにそのカメラを証拠品して押収してもらい、受け取った僕はそれをすぐさまチクチクにパスして、
「チクチク! 近くの交番に持って行って!」
「は? 言われなくても分かってるし! 当然だろ!」
 そうなると当然あの偉そうなスタッフが武力行使アリで突っ込んでくるんだけども、それはドスドスが食い止めて、
「他の連中は邪魔だ! ヌメヌメやトロトロやガリガリを守って全員でこの校舎脱出しろ! マジで!」
 と荒らげ、僕は大きな声で、
「逃げよう!」
 と叫んで、一気に階段をおり始めた。
 ドスドスの力はすさまじく、偉そうなスタッフを押し返したんだけども、ずっと職員室で隠れていたスタッフがいたみたいで、そのスタッフがドスドスの死角からハサミを握りしめ襲ってきた!
 けども! そこは! 当然! 今を! 描写! している! 僕が! 足を掛けて転ばせたぞ!
 ドスドスが目を輝かせながら、
「ペラペラぁ!」
「ドスドス! 早く今のうちに逃げるよ!」
「残っていたのかよ! マジか!」
「僕が逃げようと叫べば! 僕は勿論行ったと思うでしょ! でも何かあった時の用心にさ! ペラペラで身体を薄くしてさ! すぐに中に潜んだんだよ!」
 何か興奮しちゃってデカい声が出続けてしまっている。
 ドスドスはすごく嬉しそうに、
「さすがペラペラ! 最高の仲間だ!」
 一緒に校舎の外に出ると、警察官たちを連れたチクチクがこっちに向かってきていて、そのまま僕たちは警察官に保護されて、この友情リアリティーショーは幕を閉じた。
 僕たちはそれぞれの小学校に戻ったわけだけども、今も仲良くしていて、休日になれば一緒に遊んでいる。
 別に僕の小学校での立ち位置が変わったわけじゃないけども、外に仲間がいるということはなんて幸せなことなんだろうか。

(了)
< 9 / 9 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:0

この作品の感想を3つまで選択できます。

  • 処理中にエラーが発生したためひとこと感想を投票できません。
  • 投票する

この作家の他の作品

ヤノダンゴ探偵のダイレクトプレー集

総文字数/53,915

青春・友情12ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
ヤノダンゴ探偵を名乗る征喜と、 助手をさせられてるが、実際謎を解くのは大体、木村超ことキムチによる探偵モノ。 (2026年1月に改稿した作品です)
にじゅうしせっき文芸部

総文字数/7,952

青春・友情1ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
二十四節気の24名で文芸誌を作ってみることに! それぞれ好きなジャンルがある! 立春、雨水、啓蟄、春分、清明、穀雨 立夏、小満、芒種、夏至、小暑、大暑 立秋、処暑、白露、秋分、寒露、霜降 立冬、小雪、大雪、冬至、小寒、大寒 夏至・冬至:小説 立春・立秋:児童文庫 芒種・大雪:現代詩 雨水・処暑:ポエム 大暑・大寒:短歌 立夏・立冬:俳句 穀雨・霜降:ラジオドラマ脚本 啓蟄・白露:ネット長文 小暑・小寒:川柳 清明・寒露:ネットライム 春分・秋分:エッセイ 小満・小雪:ネットニュース
怪しい声

総文字数/982

ホラー・オカルト1ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
野いちご大賞のために書いた新作です!

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品をシェア

pagetop