n回目のリフレイン



 夏期講習か……。だから午後に会おうって言いだしたんだ。

 それにしても……。


「汗かかないタイプ? いいなぁ」


 矢島くんのシャツには汗染みが全くない。匂いもしなくて、汗っかきの自分からしたらうらやましすぎる体質だ。

 彼は一瞬だけ目を丸くすると、にこやかに「そうだね」と返した。


「親もそうだし……遺伝かもしれない」

「遺伝かぁ」


 それならもうどうしようもないじゃない。

 私は一生、汗のベトベトと付き合っていかなきゃいけないのか……。


「でもあんまりよくないっていうよ? 老廃物とかが中にたまるんだって」


 矢島くんのフォローに優しい子だなぁと思う。このまま困らせてしまうのも嫌で、「そっか」と納得したふりをした。


「じゃあさ、今日はなにして遊ぶ?」

「海に行ってみない?」


 矢島くんの瞳が木漏れ日と合わさってキラキラと瞬く。綺麗だな、と思う間もなく、私は笑顔で「行こう!」と賛成していた。


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