n回目のリフレイン



 〝諡〟に〝娘〟で“久利畳”というのもよくわからない。当て字にするにしても、もっと関連のある字を使えばいいのに。

 うんうん考えながら登っていると、もう階段はない。いつの間にか登りきっていた。

 私はナップサックからウエットティッシュを取りだして、指先から指の間まで時間をかけてふいていく。

 ふき終わったウエットティッシュはもちろん、ビニール袋に入れてナップサックに放りこむ。

 五円玉をお賽銭にして、息を深く吸って、吐いた。

 ここからが本番だ。


 二拝二拍手一拝。しっかりとお辞儀をして、ゆっくりと拍手する。二度目の拍手で手を合わせたまま、心の中で願いごとをくり返す。


 お願いします。もう時間を巻き戻さないでください。家に帰してください。

 明日もまた来ます。よろしくお願いします。


 もう一度、頭を下げて一拝を終わらせる。

 ここで気を抜いてはいけない。

 階段まで戻り、お社に向かって軽く一礼した。


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