n回目のリフレイン



 蔦が這った平屋の社員寮がそこにあった。


「ここの五号室?」

「そう、こっち」


 矢島くんは指をさしてくれたけど、どれも同じに見えてしまう。


「ごめん、わかんない」

「目印はないからね」


 そんなものつけたら見つかって怒られる。そもそもこれは不法侵入なんだから、大人にバレたらそこで叱られるだろう。

 そして二度と入れない。

 こうして考えると危ないことしてるな……。


「この部屋だよ」

「他は鍵かかってるの?」

「ううん。ここが一番綺麗だった」


 どの部屋も開けっぱなしなのか。こういうところって大体は開かないもんだと思ってたけど、そうでもないのかもしれない。


「どうぞ」

「おじゃまします」


 部屋は六畳一間で、奥にはガラスのない窓があるだけの狭い空間だ。

 キッチンやトイレやお風呂は無さそうだけど、外にあったんだろうか。


「雑誌と本と……おもちゃ?」

「秘密基地っぽいだろ?」


 まぁ確かに、秘密基地ってそういうものばかり置かれてるイメージがある。


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