契約婚だから溺愛は不要です〜余命一年で捨てられた私はホテル王に求婚される〜

31.私はあなたを愛してるわ。

緋色は私が美咲さんのご実家に行きたいというと微妙な顔をした。

 彼がそんな表情をするのも当然かも知れない。

 でも、私は美咲さんの気持ちを考えるほど一生ひなたの前でママのふりはできないと感じていた。
 気まずくなって、病室を出た後、花瓶を抱えながら俯いていくあてもなく歩いた。

 気がつけば病院の外の広場まで出ていて、自分でも呆れてしまった。

「日陰!」
 私を育ててくれた父の声がして、顔をあげると首にサポーターをした望月健太がいた。
 彼の隣にいるのは、おそらく私が求め続けた母親である望月加奈だ。

「ちょっとお父さん、首、どうしたの?」
 考えなしに自分が発した言葉を後悔した。
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