契約婚だから溺愛は不要です〜余命一年で捨てられた私はホテル王に求婚される〜
 そして「お母さん」になりたかった私は、その正解か分からない選択に甘えさせてもらう。

「ありがとう、日陰。俺のことも緋色と呼んで欲しい。1年だけでも俺たちは夫婦だ」
婚姻届に署名した私の手を握りしめながら緋色さんは愛しそうに呟いた。

 彼はモテる男の代表と言われるだけあって、人を勘違いさせるような仕草をする。

 彼に「最後の恋」をしそうになる気持ちを抑えながら、私は自分のするべき復讐とひなた君の「お母さん」になることに集中することを誓った。


♢♢♢

 3週間前、私は高校時代から付き合っていた川瀬勇との結婚を考えていた。

 私の部屋で手料理を平らげた勇がくつろぎながら言ってくる。
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