冬のサボテン
☆★
○町中(朝)
季節は12月の下旬で寒い。
通勤、通学の人々が歩いている。
その中を一人、走る咲(21)。

○喫茶店(朝)
店のドアには準備中の札がかかっている。
マスター(36)がカウンターで新聞を読みながら、コーヒーを飲んでいる。
店の時計の針は8時になろうとしている。
当然、ドアが開き、咲が息を切らせて入って来る。
マスター「8時ジャスト。さすが咲」
マスター、咲を確認しないで言う。
咲「さすがって、いらっしゃいませの一言くらい言った方がいいですよ」
マスター「大丈夫、大丈夫」
咲「大丈夫って。もしお客さんだったら、どうするんですか?ただでさえ、お客さんいないのに、さらに減っちゃいますよ」
マスター「だって、まだ準備中だから」
咲「えっ」
マスター「準備中なら、客は来な来ないでしょ。だから」
咲「・・・」
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