キューピットが恋しちゃダメなのに
「お前、帰るとこあんの?」

「帰れない、かな」



ニコッと笑ってみせる。

言ってみると、悲しくなってきたな。



「あー、もうわかったよ。いい。落ち着くまでここにいろよ」

「京極翔奏のお家・・?」

「そう。昨日から親が2人とも海外出張中なんだ。1ヶ月は帰ってこない」

「いいの!?」

「いいから言ってるんだろ」



言い方は素っ気ないけど、どこか嬉しそうな顔をしてる彼。

お家に1人ぼっちで、悲しかったのかも知れないな、なんて思った。



「お世話になります!!」

「翔奏」

「へ?」

「同じ家に住むんだし。翔奏って呼べよ」



確かにさっきから、お仕事のままフルネームで呼んでた。

私はしばらく、この人にお世話になるんだから。



「ふふっ、翔奏っ」



ふわり、と微笑みながらさっそく声にすると、翔奏は目をバッと逸らした。



「っ、頼まれた。・・エナ」



真っ赤な夕日が私達を照らす、暖かい日だった。
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