Jully〜あなたと夢を〜

「…小さい頃からの夢でした。武道館ライブが。」


そう切り出した俺に、威勢のイイ掛け声を期待した社長はキョトンとしている。


「小、中とずっと歌手になる、なってやるってずっと思ってて。でも高校入って一旦諦めて…」


円陣を組んだまま、みんな俺の話を黙って聞いていた。


「普通に大学入って、普通に就職して、サラリーマンになって、普通の生活をしてるはずでした。」


『開場しま〜す』のアナウンスが流れる中、スタッフ1人1人の顔を見ながら話を続ける。


「でも1人の人によって、出会いによってまた夢を見だしました。その人はもう居ないけど…そしてまた1人の人との出会いで、夢は見るものじゃなくて叶えるものだと思いました。」


証明の桜井さん、音響の近藤さん、衣装の佐藤さん……スタッフ1人1人に握手をしながら続ける。



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