Jully〜あなたと夢を〜
その歌はラブソングだった。
多分私あての…。
歌詞に出てくる女性の仕草が私の癖だから…。
「泣いてるって事は、わかった?」
子供みたいな笑顔をして、健児が言う。
「…うん。ありがとね。」
健児のシャツで涙を拭きながら答える。
「おい!何してんだよ。俺のシャツに〜いくらすると思ってんの?」
「いくら?」
「…980円。」
チーーン!!
鼻までかんでやった。
二人して笑いながら、今度は私だけの為に、歌ってくれた。
……また泣いた。
「また泣く〜いつからこんなに泣き虫になったんだよ。」
…だってイイ曲だから。
またシャツで涙を拭こうとするのを、健児は必死で防ぐ。
「…健児が泣かせたんでしょ?」
健児がシャツを無言で差し出す。