Jully〜あなたと夢を〜
「いいかい朱美さん。みんな誰しも幸せになる権利がある…。健児はあなたに出会えた事、好きな歌を死ぬまで歌えた事、あなたを愛し、あなたに愛された事……幸せだったと思う。」
新しい煙草に火を付け、微笑みながら話を続ける。
もう目には涙は浮かんでいない。
「朱美さんの幸せはこれからなんだよ。生きてるんだから、健児の分も幸せになって欲しい。愛し続けるだけじゃ疲れる…。愛し、愛されて暖かい家庭を築いて欲しい…。さぁ涙を拭いて。」
私は涙を拭き、小さく頷く。
健児……
健児じゃない人好きになっていい?
健児じゃない人愛してもいい?
「健児は怒らないよ。大丈夫。誰よりも朱美さんの幸せを願ってるよ。」
私の心を見透かして、お父さんがそんな事を言った。