千乃とツクモ
街、そして世界は私、そして世界の99%の人が思っているより、広く夢に満ちているわけではない。端的な言葉でいうと「狭い」にあたるように。
果てしなく広がり冒険の連鎖なのはこの世界の物語ではない。どこかの遠い平行世界で紡がれたその物語が人は好きだった。だけれど手が届かなかった。
だから人々は私のような女子高校生まで今や手にするスマホやタブレット、PCを夢想し、現実にし続けてきた。娯楽としても最先端の学びとしても嗜好品としても遥かにこの世界を超える大きさを持つ。その魅力に虜になっているのは誰も彼もだ。
その枯渇した果てしない大きさを抱き続け、手にし続けたのは私も同じだ。
でもその「趣味」と近いことは世間から離されなかった。
小学生の頃からずっと。世間は嫉妬の相手にも飢えていた。AIのような感じだと尊敬はある程度湧いても嫉妬や羨望は生まれないから。
「天才エンジニア」
それが私につけられたつまらない呼称だった。
でも私がその嫉妬の相手にされるなんて御免。私は「天才エンジニア」でも「嫉妬の相手」でもなくて「高山千乃」っていうただの女子だから。
それは私の原動力になったかもしれないからマスコミには1%ぐらい感謝してやってもいい。
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