きみは硝子のゼラニウム




「…ひなはさ、俺のこと殺す気なの?」


「えっ?」


「かわいーこと、あんまりしないで。好きな子からのそーいうの、慣れてない」



私の首元で、はーっとため息をつく声。


かわいーことしないで、なんて…。尋くんから言われる“かわいー”の一言にも、心臓がいちいち反応してしまうのに、さらに“好きな子”までつくなんて。


私のほうが、慣れてない。絶対にそう。


今抱きしめられている尋くんの重みだって、ものすごく安心するのに、それと同時に胸が締めつけられて、息が少し苦しくなる。



「俺に、帰らないでほしーの?」



尋くんの低くて優しい声に、胸がぎゅっとなる。



「……う、んっ…」


「まだ、一緒にいたいの?」


「…うんっ…」



首に腕を回して、思いっきりしがみつく。

耳元で聞こえるその声は低くてあたたかく、また涙が頬を伝って落ちていく。



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