きみは硝子のゼラニウム




ひとりでいたくない。今日のこと、忘れたくない。まだ、今日を終わらせたくない。尋くんと、もう少しだけ一緒にいたいよ。


小さく震える声で、思わず尋ねる。



「…だ、め?」



首を少し傾げて聞いて、自分の心もぎゅうっと痛む。


やっぱり、ダメ、だよね。もう夜ご飯の時間だし、きっと尋くんのお母さんも待っているだろうし、今日一日で尋くんも疲れているはず…。


そう考えると急に恥ずかしさが増して、顔がカッと熱くなった。



「ごっ、ごめんねっ…子どもみたいなこと言っちゃって…!」



またじわっと涙がこみあげてきて、恥ずかしさやら、寂しさやらで頭がぐるぐるする。

最後まで、迷惑かけちゃいけない。これ以上、みっともないところなんて見せられない。


そう思って、恐る恐る尋くんのシャツから手を離したその瞬間、ガバッと勢いよく抱きしめられた。

あまりの勢いに、足が少し浮いてしまう。



「…っ、ひ、尋くん…?」



ラベンダー畑での優しいハグとは全然違う。

ぎゅっと強く抱きしめられて、少し痛いくらいだ。



< 122 / 301 >

この作品をシェア

pagetop