きみは硝子のゼラニウム
ひとりでいたくない。今日のこと、忘れたくない。まだ、今日を終わらせたくない。尋くんと、もう少しだけ一緒にいたいよ。
小さく震える声で、思わず尋ねる。
「…だ、め?」
首を少し傾げて聞いて、自分の心もぎゅうっと痛む。
やっぱり、ダメ、だよね。もう夜ご飯の時間だし、きっと尋くんのお母さんも待っているだろうし、今日一日で尋くんも疲れているはず…。
そう考えると急に恥ずかしさが増して、顔がカッと熱くなった。
「ごっ、ごめんねっ…子どもみたいなこと言っちゃって…!」
またじわっと涙がこみあげてきて、恥ずかしさやら、寂しさやらで頭がぐるぐるする。
最後まで、迷惑かけちゃいけない。これ以上、みっともないところなんて見せられない。
そう思って、恐る恐る尋くんのシャツから手を離したその瞬間、ガバッと勢いよく抱きしめられた。
あまりの勢いに、足が少し浮いてしまう。
「…っ、ひ、尋くん…?」
ラベンダー畑での優しいハグとは全然違う。
ぎゅっと強く抱きしめられて、少し痛いくらいだ。