きみは硝子のゼラニウム




少し名残惜しさを感じながら、私は尋くんから離れると、尋くんはさりげなく、私の右手を握ってくる。


なんだか急に自分が大胆になってしまったみたいで、少し恥ずかしい…かもしれない。


けれど、私はそのまま尋くんの手を握り返して、玄関の方へ歩いた。



「お邪魔します」



尋くんは礼儀正しくそう言って、私の家に入ってくる。


ひ、尋くんが…!まさか自分の家に来るなんて…!


急に心臓がバクバク鳴り出して、耳まで熱くなる。


ちら、と後ろを見れば、首をかしげて「ん?」と見上げる尋くんがいて。



た、耐えられる…!?

こんな状況、私…耐えられるのかな…。



自分から「帰らないで」って言ったくせに、いざ家の中に尋くんがいるって認識すると、頭の中がぐるぐるして、心臓がどうにかなりそうになる。


どうしよう、今の私は、もう冷静じゃいられないかもしれない…。



「ひな?入らねーの?」


「…っ!は、はいるっ…」



< 125 / 301 >

この作品をシェア

pagetop