きみは硝子のゼラニウム

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チチチチ、と小さく弾むような鳥の鳴き声に、ゆっくりと意識が浮かび上がる。


重たい瞼をそっと開けると、カーテンの隙間から差し込んだ朝の光が、白い天井を淡く照らしていた。



「……ん」



喉の奥で掠れた声が零れる。頭がまだうまく回らない。


昨日はたしか、尋くんと夜遅くまでお喋りしていて……。


英語を話す声がどこからか聞こえてきて、ゆっくり視線を向けると、テレビの画面がまだ明るく光っていた。昨夜観ていた映画が、そのまま再生され続けているらしく、知らない映画が流れている。



寝落ち、しちゃったんだ…。


寝起きの頭でぼーっとしながら、テーブルの上に置きっぱなしのリモコンに手を伸ばそうと、上半身だけゆっくり起こす。


そのときだった。



「……んー、まぶし……」



低くて甘い、聞き慣れた声が背後から落ちてくる。



「……っ」



驚いて息を呑んだ瞬間、ぐい、と腰に回される力強い腕。


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