きみは硝子のゼラニウム
反射的に振り向くと、そこにはまだ寝ている尋くんの顔。
少し乱れた髪が額にかかっていて、長いまつ毛が影を落としている。
寝ぼけたままなのに、私の腰をしっかり抱き寄せている腕だけは妙に力強い。
「…っ、ひ、ろくん」
かすれた声が、自分でも驚くくらい甘く震える。がっちりと腰に回された腕はびくともしない。
テーブルの上のリモコンは、あと少しなのに届かない。
このままもう一度寝転がる、という選択肢も頭をよぎるけれど、それはそれで心臓に悪すぎる。
ぐるぐるぐるぐる、目も頭も回って、息の仕方さえ分からなくなる。
尋くん、起きて…。このままじゃ私、本当にどうにかなっちゃいそう。
「ひっ、尋くんっ…起きてっ」
意を決して、彼の肩にそっと触れ、ゆさゆさと揺らす。
思ったよりもしっかりした体温が手のひらに伝わってきて、それだけでまた鼓動が早くなる。
すると、彼の眉間にきゅっと皺が寄った。眠りを邪魔された子どもみたいな、不機嫌そうな顔。
気難しい顔してる…。
その表情がなんだか可笑しくて、少しだけ頬が緩んで、かわいい、なんて思ってしまう自分がいる。