きみは硝子のゼラニウム




尋くん。

尋くんは、ずっと私と一緒にいてくれる…?

昨日のことも、嘘じゃない…?



「…っ、う…」


「いつでも呼んで。飛んでくるから」


「…っ、ふ」



……いつでも、なんて。尋くんだったら、ほんとに飛んできそうだ。


夜中だろうと、眠りにつく直前だろうと、私の連絡一本で駆けつけてくれる。泣いていたら、そっと抱きしめてくれるんだろう。


想像するだけで、胸の奥が熱くなって、涙よりも先に笑みが零れる。



「あ、笑った」



尋くんが小さく呟いて、優しい顔を向けてくる。



………好き。



「…ありがとう、尋くん」



かすかな声で呟くと、尋くんは少しだけ笑って、もう一度優しく目を細めた。


好きだ、好きだ、心の中で何度も繰り返す。



この先きっと、こうして私の胸を温めてくれるのは、尋くんしかいないんだろうな。

こんなに好きだと思える存在も、尋くんしかいない、って思う。


昨日初めて知ったこの感情を、まだ誰にも触れさせたくない。好き、と口に出すのは、まだもったいない、そんな気持ちさえ湧いてくる。



だから今は、この気持ちを、まだ少しだけ自分の中で大切にしておきたい。



私は、初めての感覚に戸惑いながらも、確かに幸せを感じていた。














” 紫のライラック ”

― 恋の芽生え 初恋





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