きみは硝子のゼラニウム




お母さんが事故にあったのは、私のせいだから。私を庇ったせいで、お母さんは死んでしまったんだ。



お父さんは、「違う」って言ってくれたけれど、現実は目に見える。お母さんがいなくなってからのお父さんは、毎日どこか辛そうで、笑顔を作っていてもどこか影があった。



中学生の頃、仕事が忙しいはずなのに、私がいるからって休日は必ず家にいてくれた。

スマホの着信音で、病院からの電話だって分かっていたのに、断っているお父さんの背中を見て、ついホッとしたこともあった。


そのたびに、胸の奥で自分を責めた。お父さんにつらい思いをさせてしまう自分が、心の底から嫌だった。


いつか、お母さんが死んだのはお前のせいだ、と言われるんじゃないか、そう思うたびに怖くて怯えていた。



だから、邪魔にならないように。お父さんの迷惑にならないように。役に立てるように。捨てられないように。ずっと気を張って生きてきた。


高校に上がるとき、お父さんに、「もう大丈夫だから、気にせず仕事を続けて」って伝えた。ひとりで大丈夫、だから心配しないで、と。



……でも、それと同時に、心の奥ではまだ言えない声があった。




『だから、私のこと、見捨てないでね』



< 148 / 301 >

この作品をシェア

pagetop