きみは硝子のゼラニウム

一輪のバラ


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土曜日。

店の窓から差し込む光は、雲ひとつない青空の下で、爽やかに広がっていた。

店内は静かで、聞こえるのはハサミのパチパチという音だけ。

茎を切るたびに、小さなリズムが店内に響く。



「ひなちゃん、休憩の前にお花届けてきてくれない?」



奥のほうから店長の声が聞こえる。

わかりました、と返事をして、カウンターに置かれたパソコンの画面に目を落とす。



予約リストがずらりと並び、3か月先までびっしりと予定が入っている。

えーっと、と指で追いながら確認する。

今日の配達は…午前11時までにひとつ、午後にもひとつ、そして店舗受け取りがひとつ。



目線を移すと、カウンターの上には黄色とオレンジのラッピングペーパーで丁寧に包まれた花束が置かれていた。


スイートピーやラナンキュラス、春の花たちに包まれたその花束を見て、やっぱり店長が作ると一味違うな、と思う。



一目見ただけで、他のお花屋さんのものとはまるで違う。

鮮やかで、でもどこか優しくて、心がふわっと温かくなる。

もちろん、これは私が作ったわけでも、受け取る側でもないけれど。



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