きみは硝子のゼラニウム
「店長、カウンターに置いてあるので、いいですよね?住所は駅前のとこの…」
振り返りながらそう声をかけると、奥のほうから、そうそう、と、手を振るように返事が返ってきた。
入荷したばかりのお花たちに囲まれて、楽しそうに微笑む店長の姿が見える。
行ってきます、と声をかけて、Petal & Co.と刺繍された鞄に花束を丁寧に入れる。
軽く肩にかけて、店をあとにする瞬間、外の青空と暖かな春の空気が胸に入ってきた。
晴れて、よかった。
お花を届けるときは、いつも晴れてほしいと思う。
雨の日よりも、晴れているほうが、贈る人も贈られる人も気分が少し明るくなる気がするからだ。
空が澄んでいるだけで、花束がより輝いて見える気もする。
エプロンのポケットからスマホを取り出し、地図で場所を確認する。
今日届けるのは駅前のイタリアンのお店。