きみは硝子のゼラニウム




恋なんてものは自分には無理だと思っていた。誰かを好きになるなんて、権利すらないって思ってたけれど…。


でも、尋くんと出会ってから、確実に世界は変わった。


それまで当たり前だった景色も、空気も、気持ちも、全部少しずつ違って見えるようになった。誰かを好きになるって、こんなにも毎日を変えてしまうものなんだって、初めて知った。



そして今、私はどうしても、この手を離したくないと思っている。

繋がれている手の温もりが、こんなにも大事だと思ってしまっている。



だったら、好きだって、伝えるべきなんじゃないのかな。

そんなこと、本当はちゃんと分かっている。



好き、っていう気持ちだけじゃ足りない。全部ぐちゃぐちゃに混ざったこの気持ちを、本当は全部知ってほしい。

私がどれだけ尋くんのことを思っているのか、どれだけ大事に思っているのか、ちゃんと伝えたい。



全部。何も隠さないで。



尋くんなら、きっと笑って受け止めてくれる気がする。少しくらい重くても、困ったみたいに笑いながらでも、ちゃんと聞いてくれる気がする。


そんなふうに思えるから、余計に——伝えたいって思ってしまう。



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