きみは硝子のゼラニウム

カンパニュラ


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寒い日が続いていて、店の窓はうっすらと白く曇っていた。


外の冷たい空気と、店の中の暖かさが混ざり合うみたいに、ガラスの向こう側はぼんやりとしていて、通りを歩く人の姿もどこか遠くに見える。


はあ、と目の前にきれいなお花が並んでいるというのに、今日はため息が止まらない。

色とりどりの花が並ぶ店内は、いつもならそれだけで気持ちが少し明るくなる場所なのに、今日はどうしても心が落ち着かない。



「もう、ひなちゃんどうしたの?」


「…あっ、すみません」



顔を上げると、隣で花束をまとめていた店長が心配そうにこちらを見ていた。



「全然いいんだけど、体調悪いの?」


「いや、そうじゃないんですけど…」



慌てて首を振る。

だめだめ。バイト中なんだから、ちゃんとしなきゃ。

そう思うのに、頭の中は全然仕事に集中してくれない。


パチパチ、とハサミで茎を切る音だけが、妙に大きく聞こえる。手は動いているのに、気づけばぼーっとしてしまっている。



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