きみは硝子のゼラニウム




思い出した瞬間、胸の奥がちょっとムカついた。別にたいしたことじゃないはずなのに、あのときの光景を思い出すと、なんか腹が立つ。


ひなのことは、できればほかの男には見せたくなかったし、あんまり話しかけられたくもなかった。


……なんて、我ながらだいぶわがままだとは思うけど。



スマホの画面には、ひまわり畑で撮ったひなの写真が映っている。

太陽みたいな色の花に囲まれてるのに、不思議なくらいひなのほうが目立って見える。

その写真を見るたび、あの日の暑さとか、風の匂いとか、全部思い出す。



ちなみに、そこから少しスクロールすると、俺とひなのツーショットがある。

あれだけは、絶対に見られたくない。


そう思った瞬間、俺は慌ててスマホの画面を消して、そのままポケットに突っ込んだ。



「おいおい、隠すなよ!」



ほっとけ。



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