きみは硝子のゼラニウム
あの日のことは、今でもはっきり覚えてる。
この世に、こんな綺麗な人いんの?
大げさでもなんでもなく、本気でそう思った。
変な奴に絡まれてたひなに、助けるついでに連絡先でも渡そうか、とか一瞬考えたけど。
さらに知らない男が連絡先渡すとか、普通に怪しいし、そんなの下心丸出しすぎるだろって思って、あのときは思いとどまった。
結局その場では大したこともできなくて。
なのに、なぜかそのあと偶然またひなと会って、気づいたらこうして会える関係が続いている。
ひなのバイト先のPetal & Co.に顔を出すのは、もうすっかり俺の日常みたいになっていた。
店のドアを開けると、ふわっと花の匂いが広がって、色とりどりの花が並んでいる。
正直、最初の頃は花なんてほとんど興味なかった。
でも最近は、なんとなく種類の名前も覚えてきたし、季節の花が入れ替わるのもわかるようになってきた。
……とはいえ、本当の目的は別だけど。