きみは硝子のゼラニウム




花を買うのはしょっちゅうで、家の部屋には小さな花瓶がいくつも並ぶようになった。だけど、花は二の次だ。むしろ完全に口実。



ひなの顔が見たい。

カウンターの向こうでエプロンをつけて、花を束ねながら笑うひなを見るだけで、来てよかったって思ってしまう自分がいる。



同じ学校じゃないから、普通にしてたら会える機会はそんなに多くない。だから、暇な時間ができれば店に顔を出すし、何か理由をつけてはデートに誘う。

新しくできたカフェがあるとか、映画が公開されたとか、花を買いに行ったついでにご飯どう?とか、ひなの好きそうな花のイベントやらを見つけて誘ったり。


自分でも笑えるくらい、必死だなって思う。


でも、それでもいいと思ってる。こうして何とかひなと会える関係が続いてるなら、それでいい。少なくとも、完全に距離が切れるよりはずっといいから。


昨日の夜も、スマホを握りながらメッセージを送った。
来週の土曜日、もし空いてたら出かけない?って。


何度も文章を打ち直して、結局シンプルな一文に落ち着いた。
送信ボタンを押したあと、しばらく画面を見つめていたけど、既読はつかないままだった。


そして今日の昼になっても、まだ返事はきていない。



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