きみは硝子のゼラニウム
デイジー
*
*
*
「ひなちゃん。2年間ありがとうね。お疲れ様」
気づけば外には雪が降り始めていて、ガラス越しに見える白い景色が、この日が特別な日なんだと静かに教えてくる。
本格的な冬の始まりと同時に、私のここでの時間も終わるんだと思うと、不思議と現実味がなくて、ただぼんやりとその光景を眺めてしまった。
暖房の効いた店内はいつも通りあたたかくて、花の香りに包まれていて、まるでここだけ時間がゆっくり流れているみたいだった。
目の前には、少しだけ目を赤くした店長がいて、大きな花束を大事そうに抱えている。
その姿を見た瞬間、胸がぎゅっと締めつけられて、ああ、本当に終わるんだって、ようやく実感が押し寄せてきた。
このPetal & Co.は、店長と私のふたりだけで回してきた小さなお店で、忙しい日も、暇な日も、全部一緒に過ごしてきた場所だ。