きみは硝子のゼラニウム
これからは店長ひとりでこのお店を守っていくことになると思うと、申し訳なさが込み上げてきてしまう。
でも店長は、「もともとひとりでやってたんだから気にしなくて大丈夫だよ」なんて、いつもみたいに軽く笑って言ってくれた。
その優しさが、逆に胸に刺さって、余計に離れがたくなる。
だけどきっと、本当はそれ以上に、私自身がこの場所と、この人と離れることが寂しくて仕方ないんだと思う。
「…店長、ほんとにお世話になりました。ありがとうございました」
声に出した瞬間、喉の奥がきゅっと詰まってしまって、うまく言葉が続かなかった。
深くお辞儀をすると、ぽたっと涙が落ちてしまいそうで、慌てて息を整えてから顔を上げる。
視界が少しにじんでいて、でもなんとか笑顔を作って、その花束を受け取った。
色とりどりの花がぎゅっと詰まっていて、まるでこの2年間の思い出みたいに鮮やかで、見ているだけでまた涙が出そうになる。